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広告運用

リスティング広告の運用代行は何をしてくれるか|任せられる業務と自社で決めること

筆者: 古田 宏典

リスティング広告の運用代行を依頼すると、キーワードの選定や入札調整だけでなく、アカウント設計、広告文の作成、予算管理、検索語句の確認、レポート作成などを任せられます。

ただし、どこまでが料金に含まれるかは会社によって異なります。コンバージョン計測、バナーやLPの制作、サイト改善は別料金という契約も珍しくありません。

この記事では、運用代行の仕事を時系列で分け、代理店へ任せられる作業、発注側が決めること、契約によって範囲が変わることを整理します。

運用代行の業務は4段階に分かれる

リスティング広告の運用代行は、大きく次の4段階に分けられます。

  1. 配信前の設計と準備
  2. 配信開始後の日常運用
  3. 数値分析と改善
  4. レポートと次の意思決定

「運用」という言葉から日々の入札調整だけを想像しがちですが、成果を左右するのは配信前の設計と計測です。どの問い合わせを成果として数えるのか、誰に何を訴求するのかが曖昧なままでは、管理画面を調整しても事業上の成果につながりません。

1. 配信前の設計と準備

配信を始めるまでに、代理店は一般的に次の作業を行います。

  • 商品・サービスと顧客の理解
  • 広告の目標とKPIの整理
  • 媒体とキャンペーンの選定
  • アカウント、キャンペーン、広告グループの設計
  • キーワードと除外キーワードの選定
  • 広告文と広告アセットの作成
  • 地域、曜日、時間帯などの配信条件設定
  • コンバージョン計測の設定
  • 予算と入札戦略の設定

Google広告では、予算はキャンペーン単位の平均日予算として設定し、入札戦略は広告の目的に応じて選びます。Google広告の公式ヘルプでも、予算と入札は配信時に設定する基本項目として説明されています。

代理店だけでは決められないこと

作業を代理店へ任せても、次の判断には発注側の情報が必要です。

  • どの商品を優先して売りたいか
  • どの顧客を獲得したいか
  • 1件の問い合わせにいくらまで使えるか
  • 問い合わせ後に、どの程度が商談や受注になるか
  • 広告で表現してよい範囲
  • 月間予算の上限

特に「問い合わせ1件の目標CPA」は、代理店が相場だけを見て決めるものではありません。受注率、平均売上、粗利から逆算しなければ、事業として払える金額にならないからです。

初回相談までに発注側が整理する情報は、リスティング広告を代理店へ依頼する前に準備するものにテンプレート付きでまとめています。

2. 配信開始後の日常運用

配信開始後は、広告が想定どおり動いているかを確認しながら調整します。

業務 確認・調整する内容
配信状況の確認 広告が停止していないか、審査落ちや設定エラーがないか
予算管理 予定した月額に対して使いすぎ・使わなさすぎがないか
検索語句の確認 実際にどのような検索で広告が表示されたか
除外キーワード 成果につながらない検索語句を配信対象から外す
キーワード調整 成果が見込める語句の追加、停止、マッチタイプの見直し
広告文の改善 訴求や見出しを追加・変更する
入札・配分調整 成果に応じて入札やキャンペーン間の予算を調整する

キーワードと検索語句は同じではありません。登録したキーワードに関連する別の言葉で広告が表示されることがあります。Googleも、検索語句レポートを使い、関連性の低い検索を除外キーワードへ追加する方法を案内しています。検索語句レポートの公式説明

「毎日調整する」ことが目的ではない

作業回数が多い代理店ほど成果が出るとは限りません。自動入札を使用している場合、短期間に目標や予算を何度も変更すると、変化の原因を判断しにくくなります。

重要なのは、変更の回数ではなく、何を根拠に変更し、何を確認して効果を判断するかです。契約前に「毎日見ていますか」と聞くより、「どの条件で設定を変更し、その結果をいつ判断しますか」と確認する方が、運用方針を把握できます。

3. 数値分析と改善

広告運用の改善対象は、広告管理画面の中だけではありません。

例えばクリック数が増えても問い合わせが増えない場合、次の原因が考えられます。

  • 検索意図と広告文が合っていない
  • 広告文とリンク先ページの内容が一致していない
  • サービスの違いや判断材料が伝わっていない
  • フォームの途中で離脱している
  • コンバージョン計測が正しく設定されていない
  • 問い合わせは増えたが、対象外の顧客が多い

このうち、広告文やキーワードは通常の運用範囲です。一方、LP制作、サイト改修、営業データとの照合は、契約外になっている場合があります。

「CPAを改善します」という説明だけでなく、広告の外側まで誰が確認し、誰が修正するのかを契約前に決めておく必要があります。サイト側の原因を切り分ける方法は、コンバージョン改善の前に確認することでも解説しています。

4. レポートと次の意思決定

月次レポートには、一般的に次の数値が掲載されます。

  • 広告費
  • 表示回数
  • クリック数とクリック率
  • 平均クリック単価
  • コンバージョン数とコンバージョン率
  • CPA
  • 前月や前年との比較

ただし、数字を並べるだけでは運用改善になりません。発注側が必要なのは、次の判断です。

  1. 何が起きたか
  2. なぜ起きたと考えるか
  3. 次に何を変更するか
  4. その変更を何の数字で判断するか

レポートを受け取る際の注意点は、広告運用レポートの見方にまとめています。

契約によって変わる業務

次の作業は、運用代行に含まれる会社と、別料金になる会社があります。

  • コンバージョンタグやGoogleタグマネージャーの設定
  • GA4との連携、イベント設定
  • バナー、動画などのクリエイティブ制作
  • LPの制作と修正
  • Webサイトの導線・フォーム改善
  • 商品写真や原稿の作成
  • CRMや商談データとの連携
  • 定例ミーティング
  • 社内報告用資料の作成

見積書に「広告運用一式」とだけ書かれている場合は、この範囲を確認してください。月額手数料の計算方法については、リスティング広告の手数料「20%」は何に対する20%かで整理しています。

発注側に残すべき3つの判断

運用を外注しても、すべての判断を代理店へ渡すべきではありません。

1. 事業上の優先順位

どの商品を伸ばすか、どの顧客との取引を増やすかは、広告管理画面だけでは決められません。

2. 予算と採算

Google広告の予算は広告主が設定でき、後から変更できます。また、平均日予算を基準に配信されるため、日単位の費用が平均日予算を上回る場合があります。Google広告の費用管理に関する公式説明を踏まえ、月額の上限と変更権限を社内でも把握しておく必要があります。

3. 成果の定義

フォーム送信を1件と数えるのか、電話、資料請求、採用応募を分けるのか。何を主要な成果とするかは、媒体の設定ではなく事業の判断です。

広告アカウントは自社から確認できる状態にする

代理店が運用する場合でも、自社の担当者が広告アカウントへログインし、配信状況を確認できる状態が望ましいです。

Google広告のマネージャーアカウントは、代理店が複数の顧客アカウントを管理する仕組みです。既存の広告アカウントをマネージャーアカウントへリンクでき、顧客アカウントの管理者はリンクを解除できます。Google広告マネージャーアカウントの公式説明

契約終了後も自社に残すべきものは、広告アカウント・GA4・ドメインを誰の名義にするかで詳しく説明しています。

契約前は「業務・担当・費用・資産」を確認する

見積もりでは、業務名だけでなく、担当者と成果物まで確認します。例えば「レポート作成」が範囲に入っていても、数値の集計だけなのか、分析と改善提案まで含むのかで内容は異なります。

最低限、次の4点を契約書や提案書と照合してください。

  • 何を、どの頻度で実施するか
  • 誰が実際に運用し、定例会へ参加するか
  • 広告費以外に何の費用がかかるか
  • 契約終了後にアカウント、計測設定、制作物が残るか

複数社の提案を比較する具体的な質問は、リスティング広告代理店の選び方にまとめています。代理店の変更を検討している場合は、リスティング広告代理店を乗り換える前に確認することもあわせて確認してください。

まとめ

リスティング広告の運用代行では、配信前の設計、キーワードと広告文の作成、日々の予算管理、検索語句の確認、入札調整、レポートと改善提案までを任せられます。

一方、LP制作、サイト改善、計測設定、営業データとの連携は、会社や契約によって範囲が異なります。見積金額だけでなく、何をしてもらえるか、何を自社で決めるか、契約終了後に何が残るかを確認してください。

Owtellでは、広告管理画面の運用だけでなく、計測、サイト、事業上のKPIまで含めて課題を整理しています。広告運用・改善サービスで支援範囲をご案内しています。

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