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リスティング広告代理店の選び方|提案3社を比較する12の質問

筆者: 古田 宏典

リスティング広告代理店を選ぶとき、会社の知名度、実績件数、手数料だけを並べても、自社に合う会社は判断できません。

同じ会社でも営業担当者と実際の運用者が異なることがあります。業種実績が多くても、自社と予算規模や獲得目標が違えば、その経験をそのまま活かせるとは限りません。

代理店選びで比較すべきなのは、会社の見栄えではなく、誰が、どの前提で、何を行い、結果をどう判断するかです。この記事では、候補を3社程度に絞った後、提案と契約を同じ条件で比較する方法を解説します。

先に結論:4分野を比較する

代理店の比較項目は、大きく4分野に分けられます。

分野 確認すること 見落とした場合の問題
担当者 誰が運用し、何社を担当するか 営業時の説明と運用品質が一致しない
提案 目標、計測、改善方法に根拠があるか 数字が悪い理由を判断できない
契約 料金、業務範囲、解約条件 想定外の追加費用や長期拘束が生じる
資産 アカウント、データ、制作物が残るか 代理店変更時にゼロからやり直す

この4分野について同じ質問を各社へ行い、回答を記録します。商談の印象だけで決めず、曖昧な回答がどこに残ったかを比べることが重要です。

最初の候補を3社程度に絞る

候補探しの段階では、細かな優劣を決める必要はありません。まず、依頼条件を満たす会社だけを残します。

  • 自社の月間広告費に対応している
  • Google広告など、必要な媒体を扱っている
  • 計測やLP改善など、必要な業務範囲に対応している
  • 最低契約期間とおおよその総額を許容できる
  • 自社が確認できる広告アカウントで運用できる
  • 商談で実際の運用者や責任者と話せる

Webサイトに書かれていない項目は、問い合わせ時に確認します。この段階では「おすすめ会社」という評判より、予算と必要な支援範囲が合うかを優先します。候補が多すぎると商談条件を揃えにくいため、比較するのは3社程度で十分です。

比較する3社へ同じ依頼条件を渡す

提案を比較する前に、各社へ同じ情報を渡します。

  • 広告の目的
  • 優先する商品・サービス
  • 増やしたい顧客
  • 対象地域
  • 主要なコンバージョン
  • 月額の総予算と広告費
  • 過去の広告実績
  • 開始希望時期
  • LPやサイトの状況

ある会社には月30万円、別の会社には月50万円と伝えれば、提案内容が違って当然です。前提が異なる提案書を並べても、代理店の能力差なのか条件の差なのか判断できません。

準備する情報と書き方は、リスティング広告を代理店へ依頼する前に準備するものにテンプレートを掲載しています。

リスティング広告代理店を比較する12の質問

1. 実際に運用するのは誰ですか

営業担当者ではなく、契約後に管理画面を操作し、改善案を考える人を確認します。

  • 運用者は商談や定例会に参加するか
  • 運用者の経験年数と担当領域
  • 1人が何社、いくら程度の広告費を担当しているか
  • 不在時に誰が確認するか
  • 担当者を変更できるか

経験年数だけで良し悪しは決まりません。ただし、提案者と運用者が異なるのに引き継ぎ方法が説明されない場合、契約前に聞いた方針が現場へ伝わらない可能性があります。

2. 自社に近い条件の実績はありますか

「同じ業界の実績がありますか」だけでは不十分です。次の条件まで近いか確認します。

  • 月間広告費
  • 商品単価と商談期間
  • 商圏
  • 法人向けか個人向けか
  • EC、問い合わせ、来店などの成果地点
  • 新規立ち上げか、既存運用の改善か

具体的な社名や数値を守秘義務で開示できないことはあります。その場合でも、何が課題で、どこを変え、何の数字で成果を判断したかは説明できます。

実績の数字を聞くときは、改善率だけでなく期間と条件も確認します。「CPAを50%改善」が、繁忙期との比較なのか、計測設定の修正による変化なのかで意味は変わります。

3. この予算で何を優先し、何をしませんか

良い提案は、実施項目だけでなく、限られた予算で見送る項目も明確です。

例えば月20万円の広告費を、検索広告、ディスプレイ広告、動画広告へ均等に分けると、それぞれの判断材料が少なくなります。最初は検索広告と特定商品に絞り、結果を見て対象を広げる方針もあります。

「Google広告もYahoo!広告もSNS広告も全部できます」という対応媒体の多さではなく、自社の目的に対して最初に何を選ぶか、その理由を聞きます。

4. 目標値は何から計算しましたか

シミュレーションのコンバージョン数やCPAは保証ではありません。次の前提を確認します。

  • 検索数
  • 想定クリック単価
  • クリック率
  • コンバージョン率
  • 季節性
  • 過去実績の利用範囲

特に、サイトを確認せずに高いコンバージョン率を置いている提案には注意が必要です。計算式が示され、どの前提が変われば結果も変わるのか説明できる提案を比較します。

また、広告上のCPAだけでなく、問い合わせから商談・受注へ進む割合をどう確認するかも聞きます。

5. 何をコンバージョンとして計測しますか

フォーム送信、電話、購入、資料請求など、何を主要コンバージョンにするか確認します。

Google広告では複数のコンバージョン行動を設定でき、どの行動を「コンバージョン」列へ含めるか選べます(Google広告ヘルプ)。したがって、レポートに「CV 20件」とあっても、電話タップやページ閲覧まで含むかによって価値は変わります。

次の質問まで行います。

  • 主要CVと補助CVを分けるか
  • 重複計測をどう確認するか
  • 電話やオフライン受注を計測するか
  • 計測のテストを誰が行うか
  • 設定費は見積もりに含まれるか

計測の定義を確認する方法は、コンバージョン改善の前に確認することでも解説しています。

6. 配信開始後、何を見て改善しますか

「PDCAを回します」「AIで最適化します」だけでは、具体的な運用方針は分かりません。

  • 検索語句をどの頻度で確認するか
  • 問い合わせの質をどう把握するか
  • 広告文をどの条件で変更するか
  • LPの問題を誰が指摘・修正するか
  • 予算配分を変更する条件は何か
  • 変更後、いつ効果を判断するか

変更回数が多ければ良いわけではありません。根拠、変更内容、判断結果が追えることを重視します。

Google広告には、予算やキーワードなどについて、過去2年間に誰が何を変更したか確認できる変更履歴があります(Google広告ヘルプ)。定例会では、結果だけでなく主要な変更と意図を説明してもらえるか確認します。

7. レポートで次の判断まで説明しますか

月次レポートの見本を見せてもらいます。確認したいのはグラフの美しさではありません。

  1. 何が起きたか
  2. なぜ起きたと考えるか
  3. 何を変更したか
  4. 次に何を行うか
  5. 発注側に何を判断してほしいか

これらが記載されているかを見ます。数値の羅列だけなら、社内で改めて分析する必要があります。見るべき項目は広告運用レポートの見方にまとめています。

8. 運用手数料には何が含まれますか

手数料率だけでなく、作業範囲と総支払額を確認します。

  • 初期設計
  • 広告文の作成
  • バナー制作
  • コンバージョン計測
  • GA4やタグマネージャーの設定
  • LP制作・修正
  • 月次レポート
  • 定例会
  • 媒体追加

同じ「広告費の20%」でも、広告費へ上乗せする外掛けか、総予算から差し引く内掛けかで配信額が変わります。最低手数料と追加費用を含めた比較方法は、リスティング広告の手数料「20%」は何に対する20%かをご覧ください。

そもそも運用代行に含まれる業務が分からない場合は、リスティング広告の運用代行は何をしてくれるかで、通常の運用範囲と契約によって変わる業務を確認できます。

9. 契約期間と解約条件はどうなっていますか

成果が出ない場合や社内事情が変わった場合に、いつ、どの条件で解約できるか確認します。

  • 最低契約期間
  • 自動更新の有無
  • 解約を伝える期限
  • 中途解約の費用
  • 休止の可否
  • 契約終了時の作業

広告は一定期間の検証が必要ですが、それと長期契約を必須にすることは別の話です。長い契約期間を提示された場合は、その期間が必要な理由と、途中の評価時期を聞きます。

10. 広告アカウントを自社で確認できますか

代理店が運用する場合でも、自社の担当者が広告アカウントを閲覧できるか確認します。

Google広告のマネージャーアカウントは、既存の顧客アカウントへリンクして管理できます。リンクしても元の顧客アカウントと履歴は維持されます(Google広告ヘルプ)。そのため、代理店が運用することと、広告主が自社アカウントを持つことは両立します。

「独自システムなので管理画面は見せられない」と言われた場合は、媒体の広告アカウント自体を誰が所有し、契約終了後に履歴が残るかを確認してください。

11. 契約終了時に何を引き渡しますか

契約前に終了時の扱いを決めます。

  • 広告アカウントと配信履歴
  • GA4、タグマネージャー、Search Console
  • コンバージョン設定
  • キーワードと除外キーワード
  • 広告文、画像、動画
  • LPとその編集データ
  • レポートと改善履歴

制作物は、データの引き渡しだけでなく、著作権や二次利用の条件も確認します。外注後に残すべき資産は、外注しても社内に何も残らないのはなぜかで詳しく扱っています。

12. 成果が出ない場合、どこまで見直しますか

広告の成果が出ない原因は、入札やキーワードだけとは限りません。

  • 商品の訴求
  • 価格や契約条件
  • LPの内容
  • フォームの使いやすさ
  • 問い合わせへの対応速度
  • 商談化や受注の方法

運用契約にサイト改修が含まれていなくても、原因を広告管理画面の外まで切り分け、必要な改善を指摘できるか確認します。

同時に「広告では解決できない場合、そう伝えてもらえますか」と聞きます。広告費の増額だけを提案するのか、商品やサイトの問題も含めて立ち止まれるのかを見る質問です。

Google Partner認定だけで決めない

Google PartnerやPremier Partnerの認定は、確認材料の一つです。Google Partnerの公式な要件区分は、パフォーマンス、利用額、認定資格の3つです。ここでいうパフォーマンス要件は、顧客の売上やCPAをGoogleが審査するものではなく、Google広告の最適化スコアを基準にしています。Premier Partnerは、Partner要件を満たした上で、各国の参加企業の上位3%が対象です(Google広告ヘルプ)。

ただし、認定は自社との相性や担当者の品質を保証するものではありません。Google自身も、バッジをGoogleによる企業・商品への推奨と受け取られる形で表示することを認めていません(Google Partnerバッジのガイドライン)。

認定の有無だけでなく、実際の担当者、予算規模、計測設計、改善方針を確認してください。

提案3社を比較する採点表

各項目を、回答の詳しさではなく、根拠と文書で確認できるかによって採点します。

  • 2点: 根拠や実例があり、必要な条件は提案書・見積書・契約書でも確認できる
  • 1点: 口頭の説明はあるが、根拠または文書での確認が不足している
  • 0点: 説明がない、質問に答えない、条件が自社の要件を満たさない
比較項目 A社 B社 C社
実際の運用者と体制が分かる
近い条件の経験を説明できる
実施しないことも明確
数値シミュレーションに根拠がある
主要CVと計測方法が明確
改善の条件と頻度が具体的
レポートに分析と次の行動がある
総額と作業範囲が明確
契約・解約条件が明確
自社でアカウントを確認できる
終了時の引き渡しが明確
広告外の原因も切り分ける
合計(24点)

合計点だけで自動的に決める必要はありません。自社にとって重要な項目が0点なら、契約前に再確認します。例えば社内にサイト担当者がいない会社では、LP改善まで支援できるかを重く見るべきです。採点とあわせて、回答の根拠となる資料名や契約書の該当箇所もメモしておくと、説明のうまさだけに判断が左右されません。

避けたい選び方

一番安い会社を選ぶ

料金が安くても、計測、定例会、LP改善が別料金なら総額は逆転します。価格ではなく、広告費、手数料、制作・計測費を分け、同じ作業範囲で比べます。

同業種の実績だけで選ぶ

業種が同じでも、予算規模、地域、商品単価が違えば運用方法は変わります。また、過去の成功パターンをそのまま当てはめる会社より、現在の事業条件を調べる会社を評価すべきです。

営業担当者の印象だけで選ぶ

説明が分かりやすいことは重要です。ただし、実際の運用者と連絡方法を確認しなければ、契約後も同じコミュニケーションが続くか分かりません。

成果保証で選ぶ

広告成果は市場、競合、サイト、商品、営業対応にも左右されます。根拠なくコンバージョン数や順位を保証する説明より、仮説と不確実性を説明する提案を選びます。

自社運用や別の支援方法も比較する

広告費が小さい場合、代理店の最低手数料が負担になることがあります。社内に担当者がいるなら、初期設計や定期レビューだけを外部へ依頼し、日常運用を自社で行う方法もあります。

月10万円程度から始める場合の判断は、月10万円のリスティング広告は代理店に頼むべきかで整理しています。

また、地域の代理店と全国対応の会社で迷う場合、距離ではなく支援範囲と担当体制を比較します。広告代理店は地元と全国区、どちらを選ぶかもあわせてご覧ください。

まとめ

リスティング広告代理店を選ぶときは、会社一覧から一社を直感で選ぶのではなく、同じ依頼条件を3社程度へ渡し、担当者、提案、契約、資産の4分野を比較します。

特に重要なのは、実際の運用者、目標値の根拠、コンバージョンの定義、改善方法、総支払額、アカウントの扱いです。曖昧な回答を契約前に残さないことが、運用開始後の認識違いを減らします。

Owtellでは、初回相談で現状と目標を伺い、広告運用を依頼すべきか、どこまで外部へ任せるかを整理しています。広告運用・改善サービスをご覧いただくか、お問い合わせからご相談ください。

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