月10万円のリスティング広告は代理店に頼むべきか|自社運用で立ち上げる手順
「リスティング広告は月いくらから始められますか」という質問には、2つの答えがあります。媒体のルール上の答えと、実務上の答えです。この2つがずれていることが、少額予算での失敗の入り口になります。
媒体側に最低出稿金額はない
まず事実として、Google広告・Yahoo!広告のいずれも最低出稿金額の設定はありません(PLAN-B)。月1万円でも配信は可能です。
にもかかわらず「最低30万円から」といった話を聞くのは、それが代理店側の商習慣だからです。代理店が受注の下限としている広告費は月10〜30万円程度とされています(StockSun)。
つまり「いくらから始められるか」と「いくらから代理店に頼む意味があるか」は別の問いです。
少額を代行に出すと、手数料が成果を食う
運用代行の手数料は広告費の20%が一般的な水準ですが、多くの代理店には最低手数料があります。広告費25万円未満なら月5万円という設定を例にとると、実質の負担率はこうなります(Web幹事)。
| 月間広告費 | 手数料 | 実質的な負担率 | 配信に回る割合 |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 5万円 | 50% | 支払額15万円のうち67% |
| 20万円 | 5万円 | 25% | 支払額25万円のうち80% |
| 30万円 | 6万円 | 20% | 支払額36万円のうち83% |
月10万円の場合、15万円を支払って10万円しか配信されません。この5万円を広告費に回したほうが、多くのケースで獲得件数は増えます。
予算が月20万円を下回るなら、運用代行はおすすめしません。 自社運用に切り替えるか、設計だけをスポットで依頼して運用は内製する形のほうが、同じ支出で成果が出ます。
手数料の内訳そのものについてはリスティング広告の手数料「20%」は何に対する20%かで詳しく扱っています。
予算はいくらに設定すべきか
「10万円しか出せない」のではなく「いくら出すべきか」から考えると、算出式はシンプルです。
必要な広告費 = 目標コンバージョン数 × 目標CPA(PLAN-B)
月に10件の問い合わせが欲しく、1件あたり2万円までなら見合うのであれば、必要な広告費は20万円です。逆に予算が10万円しかないなら、同じCPAで取れるのは5件です。予算から逆算した期待値を先に持っておくことが、少額運用では特に重要になります。
参考までに、リスティング広告の月額予算は20〜50万円程度が相場とされ(同上)、広告主の約7割は月間予算100万円以下です(オーリーズ)。少額から始めること自体は珍しいことではありません。
自社運用で立ち上げる5つの手順
少額で自社運用を選ぶ場合、順番を守ることが成果を分けます。
1. コンバージョン計測を先に入れる
広告アカウントを作る前に、問い合わせ完了やフォーム送信を計測できる状態にします。計測が入っていない状態で配信を始めると、何が効いたのか永久にわかりません。 少額運用では判断材料が少ないぶん、計測の精度が成果に直結します。
2. キーワードを「今すぐ客」に絞る
予算が小さいほど、検索の裾野を広げてはいけません。「サービス名+地名」「課題+依頼」「商品+価格」のように、購入や問い合わせの意図が明確な語に絞ります。認知目的のキーワードは予算に余裕ができてからです。
3. 除外キーワードを最初に設定する
少額運用で最も予算を溶かすのが、意図しない検索語句への配信です。「無料」「求人」「とは」「自分で」といった語は、初期段階で除外しておきます。配信開始後は検索語句レポートを週1回確認し、不要な語を追加していきます。
4. 広告文とランディングページの整合を取る
広告文で言っていることが、遷移先のページの冒頭に書かれていない状態は、そのまま離脱になります。少額運用ではクリック単価を下げる余地が限られるため、クリック後の転換率を上げるほうが効きます。
5. 週次で1つだけ変える
複数の要素を同時に変えると、何が効いたか判断できません。少額運用はデータの蓄積が遅いので、変更は週に1つに絞り、2〜4週間は観察します。
自社運用が向かないケース
一方で、次に当てはまる場合は少額でも外部の関与を検討したほうが早いです。
- 社内に週1〜2時間を継続して割ける人がいない — 放置されたアカウントは予算を溶かし続けます。運用の実務時間が確保できないなら、代行費を払う価値があります
- 競合が多く、クリック単価が高い業種 — 士業、医療、不動産、人材などは1クリックが高額になりやすく、少額では試行回数が確保できません。この場合は広告以外のチャネルを先に検討したほうが合理的です
- そもそも検索されていない商材 — 新しいカテゴリの商品は検索需要自体が小さく、リスティングでは母数に上限があります。需要を作る施策が先です
3つ目は見落とされがちです。「広告を回しても伸びない」のではなく「その市場では検索が起きていない」というケースは実際にあります。この判断を先にしないと、予算をいくら積んでも結果は変わりません。
まとめ
媒体に最低出稿金額はなく、月10万円でもリスティング広告は始められます。ただしその規模で代理店に任せると、実質の負担率が50%に達します。
月20万円を下回る予算なら、計測とキーワードの設計を丁寧に行った自社運用のほうが、同じ支出で多くの獲得が見込めます。予算が積み上がり、運用に割ける時間が足りなくなった段階で外部に渡すのが、費用対効果の面では自然な順序です。
代理店に渡す段階になったら、広告代理店は地元と全国区、どちらを選ぶかも判断材料にしてください。
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