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サイト改善

ホームページは作り直すべきか、改善で足りるか|判断の分かれ目と、リニューアルで失うもの

筆者: 古田 宏典

「サイトから問い合わせが来ない」という課題に対して、最初に出てくる選択肢はたいてい「リニューアル」です。デザインが古い、スマホで見づらい、更新できていない。作り直す理由はいくらでも見つかります。

ただ、この判断を調べようとすると困ったことになります。**「ホームページ リニューアル」で検索して出てくる記事は、ほぼ全て制作会社が書いています。**失敗事例を挙げる記事も、進め方を解説する記事も同じです。

その立場から書けば、結論が「作り直さない」になることはありません。問いは自然と「リニューアルすべきか」ではなく「どうリニューアルするか」にすり替わります。

この記事では、作り直さずに済むケースを含めて整理します。

リニューアルはゼロからのやり直しではない、が、無料でもない

まず前提として、作り直しに伴うコストは制作費だけではありません。URLの構造が変わる場合、検索評価の引き継ぎが発生します。

Google の公式ドキュメントは、URL変更を伴うサイト移転についてこう書いています。

移転中、サイトのランキングが一時的に変動することを想定する。

URL変更を伴うサイト移転

同じページには、反映までの期間についての記述もあります。

小規模から中規模のサイトで大半のページの移転が反映されるのには数週間かかり、より大規模なサイトであればそれより長くかかります。

そしてリダイレクトの維持期間について。

リダイレクトをできるだけ長く保持します(一般的には1年以上)。

つまり、正しくリダイレクトを設定しても順位は一時的に動き、落ち着くまで数週間以上かかるというのがGoogleの想定です。これは失敗ではなく通常の挙動として書かれています。

重要なのは、この期間中も問い合わせは必要だということです。いま検索から月に何件か問い合わせが来ているサイトなら、リニューアルはその流入を一度不安定にする行為でもあります。

もちろん、URL構造を維持したままデザインだけ差し替えるなら影響は小さくなります。逆に「この機会にサイト構成も見直しましょう」という提案は、たいていURLが変わります。見積もりを見るときは、URLが変わるのかどうかを確認する価値があります。

判断の分かれ目はアクセス数にある

作り直すべきか改善で足りるかは、感覚ではなくアクセス解析の数字で切り分けられます。見るのは2つだけです。流入があるかと、流入に対して問い合わせが起きているか

状態 何が起きているか 先にやること
流入が少ない(月数百セッション以下) 誰も来ていない 作り直しても結果は変わりにくい。集客の設計が先
流入はあるが問い合わせが少ない 来ているが刺さっていない 訴求と導線の改善で変わる可能性が高い
どちらも足りている サイト側の問題ではない 商材・価格・営業プロセス側を見る

流入が少ない場合、作り直しても増えない

もっとも多い誤解がここです。デザインを新しくしても、検索されていないキーワードで上位に出ても、流入は増えません。

月に数百セッションしかないサイトを300万円かけて作り直しても、来る人が3倍になるわけではないのです。この状態で必要なのは制作ではなく、そもそも誰にどう見つけてもらうかの設計です。

このとき広告を検討することになりますが、予算規模によっては代理店に任せないほうが良い場合もあります。判断基準は月10万円のリスティング広告は代理店に頼むべきかに整理しました。

流入があるなら、改善で変わることが多い

一方、流入があって問い合わせが少ない場合は、作り直す前に試せることが残っています。

私たちが関わったBtoB SaaSの事例では、広告費を使わずサイト改善のみで、月間の問い合わせ数を8.5件から約20件(約2.4倍)に増やしました。期間は約5ヶ月です。作り直してはいません。

やったことは特別なものではありません。アクセス解析で離脱している箇所を特定し、訴求内容を絞り込み、導線を整理して、CTAを見直す。既存のサイトに手を入れただけです。

流入があるということは、すでに検索評価が積み上がっているということでもあります。作り直しはその資産を一度揺らします。改善で足りるなら、そのほうが速くて安い。

なお改善に着手する際は、施策を並べる前に計測が信用できる状態かを確認してください。GA4は設定次第で同じ行動を1件とも5件とも数えます。手順はコンバージョン改善の前に確認することにまとめました。

作り直したほうがよいケース

もちろん、改善では届かない場合もあります。次のいずれかに当てはまるなら、作り直しを検討する意味があります。

  • スマホで実用に耐えない — レスポンシブ対応がされていない場合、部分改修より作り直しのほうが安く済むことがあります
  • 自社で更新できない — 更新のたびに制作会社への依頼と費用が発生し、実質的に更新が止まっている
  • 事業内容が変わった — 掲載している商材やターゲットが実態と合っていない。これは改善の範囲を超えます
  • 技術的に維持できない — サポートの切れたCMSやPHPで動いており、セキュリティ上のリスクがある

逆に言えば、「デザインが古い」だけを理由に作り直すのは、優先度としては高くありません。見た目は問い合わせ数を左右しますが、それは流入があって初めて効いてくる要素です。

「リニューアルすれば集客できます」という提案について

制作会社の提案には、SEOや集客が含まれていることがよくあります。この部分をどう評価するかは、発注側にとって難しいところです。

確認する価値があるのは次の点です。

  1. 何をもって成果とするか — 「SEO対策込み」の中身が、内部構造の最適化なのか、コンテンツ制作なのか、公開後の運用まで含むのか
  2. 公開後に誰が手を入れるのか — サイトは作った時点が完成ではなく、公開後の改善で伸びます。そこが契約範囲に入っているか
  3. 順位を保証していないか — Googleの順位は保証できるものではありません。保証を掲げる提案は、その時点で判断材料になります

制作と集客は本来別の仕事です。両方を一社に任せること自体は問題ありませんが、どちらの費用がいくらで、何を成果とするのかは分けて見たほうが比較できます。

見積もりの読み方と契約で確認すべき項目は名古屋のホームページ制作会社の選び方に整理しました。

まとめ

作り直すか改善するかは、好みではなくアクセス解析の数字で決まります。

  • **流入が少ないなら、作り直しても増えない。**集客の設計が先
  • **流入があって問い合わせが少ないなら、改善で変わる可能性が高い。**実際に広告費ゼロで2.4倍になった例がある
  • **URLが変わるリニューアルは、順位の一時的な変動を伴う。**Googleが公式に想定している挙動で、落ち着くまで数週間以上かかる
  • スマホ非対応・更新不能・事業内容の変化・技術的な限界があるなら、作り直す意味がある

「デザインが古いから」は、単独では作り直す理由になりません。まず自社のアクセス解析を見て、どの状態に当てはまるかを確認するところからで十分です。


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